不要だと思うビジネスマナーランキング!男女500人アンケート調査

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  • 名刺交換は、目下の名刺が上にくるように
  • タクシーの中の上座は、運転席の後ろ

ビジネスマナーは仕事を円滑にすすめる役割をはたしています。

一方で、「細かすぎるビジネスマナー、本当に必要?」「正直、面倒だなぁ」と疑問や不満を感じている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、全国の男女500人を対象に「不要だと思うビジネスマナー」についての調査を行いました。

「わかるわかる!」というものから、「そもそも、そんなビジネスマナーがあるの?」と驚くようなものまで、さまざまな意見が寄せられました。

アンケート結果に対して、一般社団法人スマートマナークリエイト代表理事の大川 ユカ子氏、エレガントマナーズジャパン代表の半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏のお二方から監修コメントいただいております。

大川 ユカ子
一般社団法人スマートマナークリエイト代表理事
大川 ユカ子氏

学習院大学経済学部を卒業後、全日本空輸株式会社に客室乗務員として10年間勤務。

国際線チーフパーサーやVIPフライトを担当。退社後、しばらくは一男一女の母として育児に専念。

のちに一般社団法人スマートマナークリエイト代表理事として美容サロンのスタッフ教育や企業研修などの人材育成ならびに幼児マナー教育を中心に活動。

スタッフ育成はのべ5000人以上。おもてなし協会メディア編集長。

日本テレビnews every出演。雑誌・季刊誌,ウェブ記事多数掲載。DVD「場の空気の読み方」。

半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏
エレガントマナーズジャパン代表
半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏

信頼とチャンスを引き寄せる心配りマナーの専門家。
個性を活かした好感度UPの外見作りをサポートするイメージコンサルタントでもある。

カリスママナー講師の西出ひろ子氏に師事し、ヒロコマナーズグループの講師としても北海道を拠点に全国で活動中。

ひと手間かける、心配りのある指導に定評のあり、マナー研修、講座では毎回人気を博すことで知られる。

メディアにおいてはビジネス誌やオトナンサーに記事を掲載したり、ラジオを始め TV の依頼も受け、大泉洋さんの番組やNHK オイコノミアに出演。

どさんこワイド朝ではマナーコーナーを監修など様々なマスメディアでご活躍中。

【調査概要】

  • 調査対象:全国の働く男女
  • 調査日:2021年1月16日
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 調査人数:500人(女性307人/男性193人)

属性

ビジネスマナーに自信がある人は49.8%

まず、10代以上の男女500人に「あなたはビジネスマナーに自信がありますか?」と質問したところ、ビジネスマナーに自信がある人とない人が、ほぼ半分ずつという結果でした。

ビジネスマナーに自信がある?

若手(10~20代)、中堅(30代)、ベテラン(40代以上)の3つの世代にわけてみると、以下のような結果に。

年代別 ビジネスマナーに自信があるか?

「自信がある」「多少ある」と回答した人の割合は、意外にも、若手(10~20代)世代でもっとも多くなりました。

若手社員は新入社員研修で叩きこまれたビジネスマナーをまだしっかり覚えており、自信があるのかもしれませんね。

ビジネスマナーを知らずに恥ずかしい思いをしたことがある人は約3割

続いて、「ビジネスマナーを知らずに、恥ずかしい思いをしたことがありますか」と聞いたところ、3割近くの人が「ある」と答えました。

ビジネスマナーを知らずに恥ずかしい思いをしたことがある

  • 敬語を使おうとしたあまり、変な日本語になってしまい、相手から笑われた(20代女性)
  • 名刺をどちらから出すかわからなくて、恥ずかしい思いをしました(40代男性)
  • 新入社員のころ、座席位置を知らずに、一番偉い人が座る位置に座ってしまった(50代男性)

「誤った言葉づかいを注意された」「名刺交換のマナーを知らなかった」「上座・下座を間違えた」というエピソードが多く寄せられました。

ただ「ビジネスマナーを知らなくて恥ずかしい経験をした」人のうち44.3%が、現在では「ビジネスマナーに自信がある」「多少ある」と回答しています。

恥ずかしい思いをバネに、ビジネスマナーを身につけた人も多いことがわかります。

大川 ユカ子氏
大川 ユカ子氏
■大川 ユカ子氏の考察
ビジネスマナーについて、頭の中では分かっていても経験不足からいざという時に上手く振る舞うことができず焦ってしまったり、不慣れゆえに失敗してしまい恥ずかしい思いをすることは誰にでも起こり得ます。

中には基本的なビジネスマナーを知らずに過ごし、後になって自分の取った言動に青ざめる人もいることでしょう。

その苦い経験を踏まえ、同じ思いをしないように学びを深めたり自分自身を振り返ることができたのであれば、自身の成長につながったのですから失敗することにも大きな価値があるといえます。

マナーを知り自分に自信がつくと表情や振る舞いが自然と変わります。相手からの信頼も得られ、仕事にもプラスに働くことは言うまでもありません。基本的なビジネスマナーを心得ておくことは不要なトラブルから身を守ることにも繋がります。

半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏
半田 典世氏
■半田 典世氏の考察
日本では多くの企業が新入社員研修を取り入れているため、ビジネスマナーの下地は「おおよそできている」といった印象を受けます。ただ、それが行動として「できているか」となると、いささか隔たりがあるように思われます。

ビジネスマナーを使いこなすにはその知識を得たあと、実践経験や場数を踏むことが必要になります。そしてその経験を積み重ねることで型通りのマナーではなく、シーンに応じた臨機応変なマナーが身に付きます。

新人の内はどうしても経験が少ないため、戸惑うこと、間違うことが起きてしまいますが、恥をかいたという経験者の言葉からもこの積み重ねこそが自信につながると言えますね。

不要と思うビジネスマナーがある人は69.2%

不要と思うビジネスマナーがある

さらに、「不要と思うビジネスマナーがあるか」と質問しました。

「どのビジネスマナーも、物事を円滑に進めるために必要なもの」という回答もありましたが、70%近くの人が「不要と思うビジネスマナーがある」と答えました。

なお、「不要と思うマナーがある」と答えた人の割合を若手(10~20代)、中堅(30代)、ベテラン(40代以上)の3つの世代にわけてみた結果は、若手が67.6%、中堅が69.5%、ベテランが69.8%。

世代ごとの差はあまりありませんでした。

次からは、具体的にどんなビジネスマナーが不要だと思うのか、ランキング形式でご紹介します。

不要なビジネスマナーランキング

不要 ビジネスマナーランキング

1位になったのは「名刺交換の所作(84人)」でした。

2位以下は「上座・下座の席次ルール(56人)」「言葉づかいや呼称のルール(55人)」と続きます。

「名刺交換」は、「ビジネスマナーを知らずに恥ずかしい思いをした」という質問でもコメントが数多くあがっており、社会人を悩ませるマナーの代表格と言えそうです。

以下、それぞれの項目を「不要だ」と思う理由について、詳しいコメントをご紹介します。

1位 名刺交換の所作

  • 名刺交換の時、上司が上にだすこと。立場の同じ人が譲り合いはじめて煩わしい(20代女性)
  • 名刺入れを持ちながら、両手で受け渡しお辞儀をする一連の流れが時間の無駄に感じる(30代女性)
  • 名刺の置き方。一言断って、さっさと名刺入れにしまってもいいと思う(40代男性)

「目下の人から渡す」「目上の人の名刺が上にくるように交換」「もらったあとに、名刺入れの上に載せる」など、細かなルールが多い名刺交換。

「無礼でない渡し方なら、何でもいいのでは」という意見が挙がりました。

「相手より下に出さなきゃ」「もらった名刺の置き方、合っているかな」と気にしすぎて、一番大切な「挨拶」がおろそかになってしまったら、本末転倒ですよね。

2位 上座・下座の席次ルール

  • テレワークでの席次。ネット上でも上座、下座を気にするという風潮は理解できない(30代女性)
  • エレベーター内の席次。エレベーターに乗るわずかな時間に立つ位置などの決め事は不要だと思う(40代男性)
  • 上座下座ではなく、会議資料などスクリーンに映し出すときに一番見やすい席をえらい人にするなど臨機応変に対応した方がいい(50代女性)

会議室や宴会だけではなく、車やエレベーター、果てはオンライン会議でもつきまとう「上座・下座」。

「どこが上座?」と悩んだり、「誰が上座に座るか」という譲り合いで時間がかかったりして、たしかに面倒ですよね。

ただ、「下座に座りたがる上司がいる」「席次をそれほど気にしない人が増えている」という回答も寄せられていることから、職場によっては席次のルールが「臨機応変」かつ「緩やか」になっていることも伺えました。

3位 言葉づかいや呼称のルール

  • 尊敬語や謙譲語を意識しながら、綺麗な文章を考えている時間がもったいない(20代女性)
  • 相手を呼ぶ際に、役職名をつけること。メール等を送る際に、いちいち「この人の今の役職は何だったかな」と調べるのが時間の無駄(30代男性)
  • メールの挨拶文。用件のみ伝えた方が時短になり効率的(40代女性)

3位に入ったのは、「言葉遣いや呼称のルール」です。

とくに、「メールに入れる決まりきった挨拶文は不要」という意見が数多く見られました。

手早くやりとりしたいのに、「いつもお世話になっております。先日は~」などの定型的な挨拶を入れるとメールが長くなり、書く時間も余分にかかってしまいますよね。

メールをもらう側にとってもあまり意味がないようで、「挨拶はいいから早く本題に入ってくれ、と思う」というコメントが寄せられました。

4位 服装やメイク

  • ボタンダウンのシャツがダメだという風習。センスがよいファッションであれば、許してもよいと思う(30代男性)
  • 女性だけ化粧とストッキングを履くこと。化粧をしていなくても清潔感があれば良いと思います(30代女性)
  • 夏でもネクタイ・ジャケット着用。顧客の前で汗ダラダラかいているほうが失礼に感じる(40代男性)

4位の「服装やメイク」では、とくに夏場の「スーツ」「ジャケット」「ネクタイ」についての意見が目立ちました。

「クールビズ」が浸透しつつありますが、「夏でもジャケット必須」という職場もまだまだ多いようです。

女性からは「化粧」「ストッキング」「パンプス」についての意見も寄せられました。

5位 お辞儀ハンコ

  • わざわざ角度を調節しなくてはならないので時間がもったいない(20代男性)
  • 文字はまっすぐの状態が一番読みやすいので、このマナーは読みにくくするだけで、逆に迷惑(30代女性)
  • まったくビジネス的な意味のない、不要な気遣いだから(50代女性)

5位に入ったのは、印鑑にお辞儀をさせる「お辞儀ハンコ」「ハンコ礼」です。

「お辞儀ハンコ」とは、決裁文書や稟議書をまわして順番に押印するとき、「目下の人のハンコが、目上の人のハンコにお辞儀をするように、角度をつけて押す」こと。

「意味がない」「手間」「上司への敬意はハンコの角度ではなく、態度で示せばいい」という意見が寄せられました。

6位 季節の挨拶や贈答

  • 部長→課長→直属の上司の順に毎年「本年も~」の挨拶回りは、伺う方も応答する方も無駄な儀式と思っているはず(30代男性)
  • お年賀タオル。配っても使われない(50代女性)
  • 年末年始の挨拶まわり。毎年受けていましたが、「挨拶に来た、来ない」で企業への印象に差は持ちませんでした(60代以上男性)

「年末年始の挨拶や、贈答品のやりとり」が6位に入りました。

年末年始の挨拶回りは、時間も労力もとられてしまいますよね。

お互いに心を込めて挨拶できるならいいですが、「形式的な社交辞令」と感じて、「不要だ」と思う人も少なくないようです。

7位 お酒の席でのマナー

  • 乾杯の時グラスを相手より低くすること。勢いよく乾杯!といきたいのに、いちいち気を使う(20代女性)
  • 瓶ビールを注ぐときは、ラベルを上にすること。マナーとされている以上はラベルを下にして注ぐと失礼だと思わせてしまうので、厄介(20代男性)
  • 上司にお酌をする。自分の飲みたいものくらい、自分でやったらいい(30代女性)

「乾杯のときのグラスの高さ」「瓶ビールのラベルを上にして注ぐ」「お酌や料理の取り分け」など、職場メンバーとの「お酒や食事の場」でのマナーが7位に入りました。

最初の乾杯から気をつかい、飲み会の間も上司を気にして過ごしていると、せっかくのお酒も料理も楽しめませんね。

「お酒の場でのマナーが不要だと思う」と回答した13人中11人が、今まさに上司に気を使っているのであろう20~30代でした。

大川 ユカ子氏
大川 ユカ子氏
■大川 ユカ子氏の考察
ビジネスマナーとは本来、相手に不快な思いをさせないための振る舞いであり、気づかいの心を形に表したものです。

その大きな目的は仕事を円滑に進めることにあります。過剰に名刺を下から差し出す行為や、お辞儀ハンコなどは本来の目的とはかけ離れ、形骸化された慣習ともいえます。

”みんながそうしているから”と安易な方法論に流されるのは適切とはいえません。本当に相手はそれを求めているのか、先方にとって心地よいことなのかを振り返る必要はあるでしょう。

席次や言葉づかい、服装などは相手の年齢や職種、価値観によってその基準にも差が生じます。自分が気にしないからと言って先方も気にしないとは限りません。

自身の価値観で判断せず”相手はどう思うか”を常に考えながら判断することが大切です。

また季節の挨拶や贈答は、日本の伝統文化や年中行事、しきたりとも大きな関係があります。

これらは古くから受け継がれた日本ならではの美しい文化であり、相手を大切に思う気持ちを伝えるための歴史に根づいた慣習です。しかしその行為が先方の負担となっては本末転倒です。

日本人として脈々と受け継がれた気づかいの文化は大切にすべきものですが、その形は時代とともに変わっていくこともあります。形式ばかりにとらわれず、”互いに気持ちの良い関係を築くためにはどうすべきか”を考えることも時として必要です。

半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏
半田 典世氏
■半田 典世氏の考察
ここ10年、20年におけるインターネットの目覚ましい普及とその進化により私たちの生活をはじめ、ビジネス界でも仕事の仕方、コミュニケーションのはかり方など、大きく変化をしてきました。

当然ながらビジネスマナーもその変化に合わせ、変わってゆくべきところなのですが、残念ながら追いついていない現状が伺えます。

時代の変化に伴いビジネスでは丁寧さよりもスピードが重要視される時代に入りました。そのためランキングが示すようにスピードを阻害するような非効率なマナーは世代共通で不要と感じているようです。

ランキング1位の名刺交換ですが、リモートワークが普及してきた影響で初対面がオンライン上でということも増えました。そうなると名刺交換というより、名刺そのものが変わってきます。

更に企業では利便性と経費削減のためペーパーレス化を進めております。

これが通常化するにつれ、自ずと印鑑の役割やその必要性についても再考されることになるでしょう。

また、女性が不満を感じている服装やメイクについても今やジェンダーレスを認める企業も増えており、将来的には大きく変わる可能性があります。

お酒の席でのマナーは仕事外の時間なため、気を遣いたくないという気持ち、よく分かります。
ただ、大人の飲み会ですし、一緒に仕事をするチーム・仲間でもあります。

自分がひどく疲れ、辛くなるほどの気遣いは不要ですが、最低限の気配りと敬う気持ちはお願いしたいところですね。

まとめ

「心がこもっていない」「誰に対する気遣いなのかわからない」ような形式的なマナーに対し、「不要だ」と考える人が多いとわかりました。

形式にとらわれるより、ビジネスマナーの本質である「相手への思いやりの気持ち」を大切にするほうが、相手からの信頼を得やすい気もしますね。

とはいえ、形式的なマナーを重視する職場では、上司や取引相手に合わせざるを得ないのが社会人のツライところ。

ビジネスマナーに厳しい職場で働いている人は、「面倒だなぁ」と思いながら嫌々するのではなく、「この相手には、敬意や気遣いを伝えるために、このマナーが必要なのだ」と割り切ってみてはいかがでしょうか。

「必要なことなのだ」と考えると、マナーの所作・作法だけが今よりもっとスムーズにできるようになり、仕事上のコミュニケーションも変わるかもしれません。

大川 ユカ子氏
大川 ユカ子氏
■大川 ユカ子氏の総括
ビジネスマナーは相手の視点に立ち、不快な思いをさせないための大切な振る舞いです。そもそも人の価値観は世代や職場環境によって大きく異なります。

ですから自分の価値観を先行させず、”相手はどう思うのか”を常に考え行動することが大切です。

ビジネスマナーが身についていると、不要なトラブルや摩擦を未然に防ぎ仕事を円滑に進めることができます。

会社や仕事上の利益につながるだけでなく、周囲からの評判が上がれば自分自身の評価も上がります。

マナーは相手を慮っての言動でありながらも、結果的に自分自身の価値をも高めているのです。このように考えると、「やらされている感」は減り、自らの振る舞いも自然と変わってくるのではないでしょうか。

半田 典世(ハンダ ミチヨ)氏
半田 典世氏
■半田 典世氏の総括
令和に入りIT技術もさらに進化し、ビジネスの世界でも仕事の方法や取り組み方など大きく変化してきました。

働く世代もアナログ世代からデジタルに精通したミレニアム世代、Z世代へと移行しつつあります。

今、不要と言われるビジネスマナーを必死に継承してきたのはアナログ世代ですが、新世代の彼らはビジネスマナーに対する視点が違います。

彼らの視点とは丁寧な所作よりスピード。

つまり「効率」を優先し、非効率に感じられるものは「省いてもよいのでは?」と、考えます。

デジタル化が進み目まぐるしく情勢が変わる現代社会においてこれはある意味、必然的なことといえるでしょう。

ただ、一方で効率ばかりを優先させてしまうと事務的で冷たい印象を与えてしまうこともあります。

時代や環境がどのように変わってもビジネスにおいてビジネスマナーは必要です。マナーの根幹は相手への敬意と思いやり、そして相手の立場になって行動することです。

一見、面倒くさく感じられるかもしれませんが、相手を思いやるビジネスマナーは長い職業人生において強い味方となります。

思いやりと効率が共存した新ビジネスマナーでより良い人間関係と職場環境が構築されること、期待したいですね。

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