外国人が派遣会社に登録する方法と注意点

外国人が派遣会社に登録する方法
  • 「派遣で働いてみたいな」
  • 「派遣のほうが仕事は見つけやすいかも」
  • 「外国人でも派遣会社に登録できるのかな?」

と思っている外国人の方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、外国人でも派遣会社に登録できます。

与えられた範囲内、期間内であれば外国人でも日本で働くことが認められているからですね。

日本もグローバル化が進み、外国人労働者は年々、増加傾向にあります。

外国人労働者が活躍できる場は増えていますが、それは派遣会社も同じで外国人向けの求人も増えています。

ただし、外国人が派遣会社に登録するときにはいくつかの条件や注意点があります。

そこで当記事では、外国人が派遣会社に登録する方法と注意点を合わせて解説していきますね。

この記事を読み終わる頃には、外国人の方が不安なく派遣会社に登録できるようになっているでしょう。

派遣会社への登録はWEBか来社でできる

外国人の方が派遣として働く場合は、まずはWEBや来社で派遣登録を行います。登録の仕方は日本人と同様で、登録にお金はかかりません。

ただし、派遣会社によっては、外国人は来社登録しかできない場合もあります。

就労ビザ(在留資格)を確認する必要があるからですね。

そのため、派遣会社に登録するときは「どのような登録方法があるのか?」を事前確認しましょう。

わからないことがあったときには派遣会社のスタッフに聞けば教えてくれますよ。

詳しい登録方法は「初めての派遣登録の仕方ガイド」の記事を参考にしてください。

登録する時には就労ビザ(在留資格)が必要

外国人が派遣登録するときには、履歴書や職務経歴書の他に在留資格を証明する書類が必要となります。

なぜなら、不法就労を防ぐためですね。

外国人が派遣会社に登録するときは次の書類を持っていく必要があります。

●在留カード(中長期在留者)
在留期間が3ヶ月~最長5年までの外国人に交付されます。カードには氏名、生年月日、性別、国籍、住所、在留資格、在留期間、就労の可否が書かれています。
●資格外活動許可
「留学」「家族滞在」「研修」などの在留資格は、就労は認められていませんが、資格外活動許可を申請することで許可を受けた範囲内で就労できます。資格外活動許可は、在留カードの裏面に記載されています。
注意点

従来までの「外国人登録証明書」は「外国人登録制度」の廃止により、「在留カード」または「特別永住者証明書」に切り替わります。ただし、在留期間の満了日までの一定期間は「外国人登録証明書」が「在留カード」とみなされます。

例外として、次のような在留資格を持っている外国人に就労制限はないので、日本人と同じように働けます。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

外国人が派遣社員として働くときの注意点4つ

外国人が派遣社員として働くときの注意点が4つあります。

  1. 派遣の仕組みをよく理解する
  2. 相手の話していることが分かる程度の日本語力は必要
  3. 派遣期間は在留期間内であること
  4. 在留資格に記載されている業務と合っていること

では、それぞれの注意点について解説していきますね。

1.派遣の仕組みをよく理解する

まずは、派遣会社の仕組みをよく理解してから登録するようにしましょう。

なぜなら、自分と派遣元(派遣会社)、派遣先企業などの関係を理解していないと働くのが難しいからですね。

派遣社員の雇用主は派遣元である派遣会社です。

しかし、実際に働くのは派遣先企業です。

つまり、勤務先と給料を支払う会社が違うわけですね。

派遣社員(自分)と派遣元(派遣会社)、派遣先企業(勤務先)がどのような関係なのか、よくわかっていないとトラブルの元になってしまいます。

派遣社員として働くときには、派遣についてよく理解するようにしましょう。

派遣について詳しい説明は「派遣とは?派遣社員の働き方とメリット、デメリット」の記事を参考にしてください。

2.相手の話していることが分かる程度の日本語力は必要

日本語をペラペラ話せなくても、相手が何を話しているののか理解できる程度の日本語力は必要です。

なぜなら、どんな仕事でも初めは教えてもらわなければ仕事ができないからですね。

どれぐらいの日本語力が必要かは派遣会社によって異なりますが、日本語の読み書きや一定レベルの会話ができなければ登録できない派遣会社もあります。

日本語力が足りなくて断られたとしても他の派遣会社だとOKが出ることもあるので、あきらめずに違う派遣会社へ登録するようにしましょう。

3.派遣期間は在留期間内であること

派遣期間は在留資格(就労ビザ)の在留期間内でなければいけません。

在留期間を過ぎてしまうと不法滞在になってしまうからですね。

不法滞在には次の3種類があります。

  • 不法入国者:偽装パスポートや他人のパスポートを使用して入国した者
  • 不法上陸者:上陸許可の認証を受けずに日本に上陸した者
  • 不法残留者:在留期間が過ぎても日本に滞在している者

外国人が派遣会社に登録するときには、在留資格を提出しなければいけないので、考えられる不法滞在は「不法残留者」となります。

いわゆる「オーバーステイ」と呼ばれるものですね。

オーバーステイがバレてしまうと次のような措置が取られます。

  • 身柄を拘束される
  • 3年以下の懲役か禁錮刑、300万円以下の罰金
  • 退去強制処分を受ける

退去強制処分を受けてしまうと、その後5年間は日本に入国できなくなります。

在留期間が過ぎてしまっていたときは、自分から入国管理局に出頭しましょう。

自ら出頭した場合は、「退去強制」ではなく「出国命令」を受けることになります。

日本から出国しなければいけないことは同じですが、「出国命令」であれば、日本への入国拒否は1年間となります。

不法滞在について解説してきましたが、どのような事情があったとしても、不法滞在は違法です。

在留期間を守って就労するようにしましょう。

4.在留資格に記載されている業務と合っていること

派遣先企業で働く業務は、在留資格で認められた業務と合っていなければいけません。

なぜなら、外国人が日本で働くときには、在留資格に書かれている業務と一致している仕事しかしてはいけないからですね。

派遣社員は、勤務先となる派遣先企業が変わるので、仕事内容と在留資格で認められた仕事が合わなくなってしまう可能性もあるので注意が必要です。

外国人が日本で就労できる在留資格は18種類あります。

在留資格の中で主なものを紹介します。

在留資格 主な職業
芸術 作曲家、作家など
報道 外国の報道機関の記者やカメラマンなど
医療 医師、歯科医師、看護師など
教育 小中学校などの語学教師
介護 介護福祉士
技能 調理師やスポーツの指導者など
技術・人文知識・国際業務 コンピューターや自動車設計などの技師、通訳など

※その他の在留資格は法務省の在留資格一覧表を確認してください。

もし、在留資格と合っていない仕事をすれば不法就労になります。

不法就労がわかると、退去強制などの処分を受けてしまうだけでなく、不法就労をさせたり、あっせんした人も「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」の処罰を受けてしまいます。

つまり、派遣会社、派遣先企業も処罰を受けるわけですね。

派遣会社や派遣先企業に迷惑をかけないためにも、業務の内容が在留資格に記載されたものと異なってしまったときには、住んでいる地域を管轄している地方出入国在留管理官署で「在留資格変更許可申請」の手続きをしましょう。

※「在留資格変更許可申請」については法務省「在留資格変更許可申請」のページを参考にしてください。

外国人におすすめの派遣会社ランキング

外国人は「言葉」「コミュニケーション」「文化の違い」などに不安を感じている人もいるでしょう。

結論から言うと、すでに外国人の利用者が多い派遣会社はおすすめです。

すでに外国人の派遣スタッフが働いている経験値から、何か困ったことがあっても対応できるからです。

この章では、外国人におすすめの派遣会社をランキング形式で紹介します。

【1位アデコ】外国人が登録しておいて損がない派遣会社

アデコは1957年にスイスで設立された人材派遣サービス会社です。

60を超える国と地域で事業を展開、5,000を超える拠点があり、日本でも全国に100の拠点を持っています(※)。

売上高は総合人材サービス企業の中で世界1位で、名実ともに世界NO.1の人材派遣会社です(※)。

結論から言うと、アデコは外国人が登録しておいて損がない派遣会社です。

なぜなら、外国人を採用・活用したい企業向けに外国人財のキャリア支援サービスを行っているからですね。

具体的には、

  • 生活サポート
  • 日本文化研修・ビジネスマナー
  • 異文化受け入れ研修
  • 日本語研修
  • 就労後のキャリア相談

といった支援内容が挙げられます。

さらに、2019年4月にはアデコグループが運営するエンジニアを専門とする人財派遣サービス「AKKODiS(旧Modis)」が外国籍エンジニアの派遣サービスも開始しています。

※2020年3月時点

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【2位テクノ・サービス】日本語に自信がない外国人におすすめ

テクノ・サービスは、大手人材総合サービス会社スタッフサービスグループが運営する製造業専門の派遣会社です。

2017年8月より外国人派遣を強化し、およそ800人と多くの外国人派遣スタッフが働いています。

テクノ・サービスは、日本語を書いたり話したりすることに自信のない外国人におすすめの派遣会社です。

本社内にフィリピン人の求職者や派遣スタッフ専門のサポート部署を立ち上げ、英語、タガログ語、日本語で登録から就業までをフォローする体制が整っているからですね。

さらに、日本で働く外国人が安心して働けるように、外国人派遣スタッフの専属サポーター「グローバライザー」を全国に約10人を配置し、業務指示書の翻訳やビザ、社会保険の手続きをサポートしています。

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【3位ランスタッド】語学力を発揮するのにおすすめの外資系派遣会社

ランスタッドはオランダを本拠地として1960年に設立された世界大手の総合人材サービス会社です。

世界39カ国、4,700以上の拠点があり、日本にも93拠点を持っています。(※2020年7月時点)

ランスタッドは外資系の人材派遣会社のため、外資系企業との繋がりが強く、語学力を発揮できる仕事や外国人向けの求人が多いのは特徴です。

海外経験の豊富なコーディネーターがキャリアを適性評価し、仕事面だけでなく、ビザの更新手続きや各種保険手続きなど、生活面でもフォローしてくれます。

ランスタッドのサイトでは「グローバル人材の就職・求人・雇用」という専用のページがあり、職種や勤務地、キーワードを入力して検索ができるため、自分が希望する仕事を見つけられますよ。

ランスタッドの派遣登録はこちら

【番外編:パソナグローバル】日本で正社員になりたい外国人におすすめ

大手人材派遣会社の「パソナ」が運営している「パソナグローバル」は、仕事を探している外国人のために就職サポートを行っている人材サービス会社です。

派遣会社ではありませんが、パソナグローバルは日本で正社員として働きたい外国人にはおすすめの一社です。

外国人が安定して働けるように「外国籍人財定着支援サービス」があり、日本のビジネスマナーの研修や悩み事を専門家に相談できる専用ホットラインなどを利用できます。

さらに、国際経験豊富なキャリアアドバイザーがカウンセリングを行い、キャリアプランの設計と実現を手助けしてもらえ、日本だけでなく海外勤務もできる仕事を紹介してくれます。

パソナグローバルはこちら

注意点

派遣会社によっては、就労可能な在留資格を持っていても登録ができない場合もあります。また、仕事の紹介や契約締結はすべて日本語で行うため、日本語の読み書き、会話、理解ができないと登録を断られることもあるので、登録する前によく確認するようにしましょう。

まとめ

外国人でも派遣社員として働けるとわかりましたが、いくつかの注意点があります。

外国人が日本で働くためには、次のことに気をつけなければいけません。

  • 在留資格
  • 在留期間

上記の記載されていることを守って働かなければ、退去強制処分を受けてしまいます。

派遣会社の中には、日本でのわかりにくい手続きを手伝ってくれるサービスの提供をしている会社もあります。

初めて派遣会社を利用する外国人は、担当者がフォローしてくれる派遣会社を選ぶのがおすすめですよ。

村井志穂氏
当記事の監修者、村井志穂氏からのアドバイス

少子高齢化が進んでいる日本において、外国人労働者の活躍の場は今後増えていくことが考えられます。

しかし、他国に比べ外国人雇用が遅れている日本では、企業側の外国人労働者雇用時の知識がまだまだ充ちていないのが事実です。

そのため、入社時には企業側・労働者側がそれぞれ気になることはしっかり確認をして、入社後のミスマッチを防ぐことが大切といえるでしょう。

近年は、厚生労働省に外国人労働者向けのリーフレットや規定例等も用意されているので、企業側はそれらの活用をしていくこともお勧めです。

■監修者プロフィール
社労士事務所志代表
村井志穂(むらいしほ)氏

【社会保険労務士会登録番号】第23210035号
【愛知県社労士会登録番号】第2313540号
椙山女学園高等学校 椙山女学園大学卒業

人事労務関連のソフト会社に入社後、カスタマーサポート・マーケティング・システム開発に携わる。

社会保険労務士資格取得後は、システムエンジニアとして勤めつつ、自身の事務所を開業。システム開発の経験を活かした、Office製品を利用した業務効率化ツールの提供も行っている。