
「働きたくない…」
お仕事をしていれば、そう感じる瞬間は誰にでもあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「働きたくない」と思う理由や、それでも頑張って仕事をする理由、さらに「どんな職場や条件なら積極的に働きたいと思うか?」について、働く男女1,000人にアンケート調査を行いました。
- 調査対象:現在働いている全国の男女
- 調査期間:2019年10月
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 調査人数:1,000人(男性332人/女性666人/未回答2人)
- 働いている人の84%は「働きたくない」と思ったことがある
- 働きたくない理由の第1位は「人間関係がつらいから」
- 働いている理由の第1位は男女とも「生活のため」
- 特に男性のおよそ80%は生活のために働いている
- 女性は「生活費を稼ぐ」以外に仕事に複数の目的をもっている人が多い
- 給料が多く、人間関係の良い職場なら積極的に働きたい
目次
仕事をしている人の84%は「働きたくない」と思う瞬間がある
10代~50代の働く男女1,000人を対象にしたアンケートによると、「働きたくないと思ったことがある」と回答した人は1,000人中845人。全体の84%にのぼることがわかりました。
働きたくない理由1位は「人間関係がつらい」
働きたくないと思う理由を聞いたところ、1位は「人間関係がつらい」でした。
5位の「上司が嫌い」も含め、職場の人間関係が悪いことは、仕事をイヤだと思ってしまう大きな原因であることがわかります。
- 人の悪口ばかり言っている人がいてうんざりする
- 職場に苦手な人がいるけど仕事上関わらなければいけない
- 上司に文句ばかり言われる
- 上司の機嫌が悪い日は働きたくなくなる
また、営業や接客の場合、「クライアントから理不尽な要求を受けるとイヤになる」「クレームや暴言を吐かれると辛い」のように、客からの対応がストレスで働きたくないと感じるとの声も多く聞かれました。
社内外に関わらず、人間関係の悪さは働く意欲を削ぐ大きな理由となっているようです。
ほかには、「疲れが取れない」(125人)、「休みがない」(100人)、女性の場合は「家事との両立が大変」(33人)など、過重労働が原因で仕事がイヤになる、会社に行きたくないとの声も聞かれました。
また、満員電車や通勤時間の長さといった都会ならではの悩み(31人)もランキングしました。
働く理由は「生活のため」がダントツの1位
では、辛いことや大変なことがあるにも関わらず、「なぜ働いているのか?何のために働いているのか?」を聞いたところ、1,000人中740人が「生活のため」と回答しました。
ただし男女別で見ると、「生活のため」と答えている人の割合は、男性の方が10%ほど多いことがわかります。
男性は家計を支えるため|女性は生活水準を上げるため
下記は男女別の働く理由です。
男女とも働く理由の1位はダントツで「生活のため」です。
しかし、同じ「生活のため」でも、男性は
- 生きるのに必要なお金を稼ぐため
- 家族を養うため
と、まさに「生活費を稼ぐため」に働いているとの回答が大半なのに対し、女性は、
- 生活の質を下げないため
- 家族で楽しく生活できるだけの収入を得たい
のように、「より良い生活のため」に働いているという回答が目立ちました。
男性は一家の収入の大半を担っていることから、「自分が働かなければ生活が成り立たない」という責任を感じており、女性は夫の収入というベースがあることから、プラスアルファの生活をするために働いている人が多いとわかります。
共働き家庭は夫婦で給料の使い道を分担している
また、女性は「貯金や老後の蓄え」(66人)、「子どもの教育費」(66人)と答えている人も多いのに対し、男性で貯金や教育費と答えた人は少数でした。
このことから、共働き夫婦の場合、生活費は夫、貯蓄や子どもの教育費は妻というように、給料の使い道を夫婦で分担していることが推測できます。
男性の働く目的は単一、女性は複数の目的をもって働いている
さらに、男性は「何のために働いているのか?」の答えが
- 家族を養って日々生活していくため(40代 正社員 男性)
- 住宅ローンやカードローンの支払いをして生活していくため(30代 正社員 男性)
- 生活費を稼ぐため(30代 パート・アルバイト 男性)
のように1つのみのケースが多いのに対し、女性は、
- 趣味や旅行の資金を稼ぐため。また、自身のスキルアップや日々の生活に必要な資金を稼ぐため(20代 パート・アルバイト 女性)
- 生活のため、自分が興味のあることをしたいため、そして仕事を通じて人の役に立ちたいから(30代 自営業 女性)
- 生活するためと、ストレス解消のためのリフレッシュや娯楽費を稼ぐため(20代 正社員 女性)
のように、働くことにいくつもの目的をもっていることがわかりました。
また、「社会とつながっていたい」(35人)、「自分自身の成長のため」(32人)といった家庭以外に自分の居場所や存在意義を見出したい人や、ほしいものを夫に気兼ねなく買えるよう「自由に使えるお金がほしいから働いている」(27人)と答えた人もいました。
「生活のため」と一口に言っても「今の生活のため」という観点と「今後の生活のため」という観点があると思います。
令和元年度の内閣府が行った世論調査では「働く目的」を問われた設問では56.4%が「お金を得るために働く」と回答しています。
ついで、「社会の一員の務めを果たすために働く」14.5%「自分の才能や能力を発揮するために働く」7.9%「生きがいをみつけるために働く」17%と続き、以下「わからない」と回答する人も。
年齢階級別では30~39歳が最もお金のために働いていると回答しており、将来の生活を強く意識する時期でもありますから当然とも考えられますが、生活はお金によってのみ構成されるものではありませんから、「統合的な人生設計」を視野にいれた生活を意識していきたいものです。
※出典:国民生活に関する世論調査
給料が多く人間関係の良い会社なら働きたい
「どんな職場環境や条件なら積極的に働きたいか?」を聞いたところ、「給料が多い/仕事に見合った報酬がもらえる」(255人)、「人間関係の良い職場」(250人)がほぼ同数でした。
給料は単に高収入を希望している人よりも、生活に困らない給料、仕事量に見合った給料がほしいといった現実的な回答が目立ちました。
- 生活していけるお金+少し余裕がもてるくらいの月給がもらえたら頑張れる(20代 正社員 女性)
- 働きに見合う給与がもらえるなら、積極的に働きたい(20代 パート・アルバイト 女性)
また、お互い助け合いの気持ちがある、仲が良い、信頼できる上司など、人間関係の良い職場なら多少仕事がキツくても頑張れるという声が多く聞かれました。
- お金よりも環境が大切なことに気づいた。条件よりも人間関係が良いところで働きたい(20代 正社員 女性)
- 人間関係が良く、コミュニケーションが活発に取れる職場が理想(30代 正社員 男性)
- 自分の能力を適正に評価してもらえ、尊敬できる先輩や上司がいるところで働きたい(30代 正社員 男性)
気兼ねなく休める職場が理想
理想の職場としては「休みや有休が取りやすい」(124人)も上位に上がりました。
「有給自体はあっても実際は取りにくい」という人は多く、気兼ねなく休めたり、海外のように長期休暇が取れたりする職場が理想という声も目立ちました。
- 有給休暇が自由に取れ、お互いの用事に寛容に対応してもらえる環境が良い(20代 正社員 女性)
- 子どもの行事や急な病気の時に、すぐ休ませてもらえる職場が良い(30代 パート・アルバイト 女性)
また、休みが取りやすいことを希望している人の中には、「週休2日にしてほしい」「休日出勤はしたくない」といった声も多く、現時点で週2日休めていない人や、休日出勤せざるを得ない状況にある人も少なくないことがわかります。
しっかり休みを取ってリフレッシュすることで、仕事のパフォーマンスが上がる、仕事のストレスを発散できると感じている人は多く、内閣府が推奨する「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」を実現するためにも、企業は休みの取りやすい職場環境を作っていってほしいですね。
ワーキングママはリモートワークに憧れている
ワーキングママには、「リモートワークなら積極的に働きたい」(91人)という声が多く聞かれました。
- 基本は在宅で、必要な時だけ会議などに参加する形が良い(20代 正社員 女性)
- 外で働いているのと同条件で自宅勤務できるなら働きたい(30代 派遣社員 女性)
- 自分のペースで、好きな場所で仕事のできるリモートワークが理想(20代 派遣社員 女性)
出社せずに自宅などで仕事ができるリモートワークには、
- 通勤のストレスがない
- 人間関係の煩わしさがない
- 子どもの病気やお迎えを気にしなくて良い
といったメリットはありますが、特にワーキングママは、子どもの熱や学校行事の際に休みにくいと感じているため、好きな時間に好きな場所で働けるリモートワークを魅力的に感じているようです。
通勤のストレスが軽減できる働き方を望んでいる
また、満員電車や通勤時間の長さなど、通勤ストレスが軽減できるなら働きたいと思っている人も多数いました。
例えば、働く時間帯がある程度自由に決められる「フレックスで働きたい」(65人)と回答した人の中には「満員電車に乗らなくてすむ」「交通渋滞を避けられる」といった声が多く聞かれました。
また、「通勤時間が短いなら苦にならずに通える」(49人)との回答もありました。
特に都心の場合、通勤時間帯のピークである朝7時~8時台に走る鉄道の混雑ぶりは大きなストレスとなるため、ラッシュを外して出勤できるフレックス、もしくは通勤時間が短いことを望んでいると読み取れます。
気持ちよく働けない、自分自身が納得して力を発揮できない状態であれば「仕事に見合った収入」と言えるでしょうか?
あなたにとって、何を基準に見合った収入と感じられるか今一度考えてみることをおすすめします。
気持ちよく働ける職場というものは経営陣の努力だけではつくれませんから、あなた自身がより良い仕事・職場を作っていくよう、積極的に働きかけることが大切です。
意外と知られていませんが、報酬の高さと、仕事の量、仕事の質に関係のない場合があるので注意しましょう。
まとめ
「働きたくない」と思ったことがある人の中で、「そもそも労働が嫌い、働かずにラクして暮らしたい」と考える人は1,000人中36人とわずか3.6%。
多くの人は、「人間関係のつらさ」「休みがなく疲れも取れない」「働きに見合った給料が得られない」「通勤がつらい」のように、本当は働きたいけれども心の折れてしまう瞬間があるとわかりました。
現在、内閣府は「ワーク・ライフ・バランス」を勧めていますが、それと並行して、働く人同士が互いに思いやりをもち、気持ちよく働ける職場の雰囲気を作っていくことも大切なのかも知れません。
働きたくないと思っても、ほとんどの人は働きます。また、今回の調査でも働きたくないと思っている人はごく少数でした。
サラリーマン、自営業をするのか、ボランティア、家事労働、さまざまな仕事のあり方があり、仕事は幸せな人生をおくるためには切り離せないもの。
人間は「社会的な生き物」であり、社会の中でより良く生きたいと考えることは遺伝子に組み込まれた本能的欲求なのだそうです。
それを踏まえ文中でも触れた統合的な人生設計という考え方をご紹介します。
キャリア理論の大家である「L・サニー・ハンセン」の理論です。
人生には4つの役割があり、それをキルトのように組み合わせて、自分の人生を”有意義な全体”として織り上げると考えましょうと言っています。
4つの役割とは「仕事」「学習」「余暇」「愛」だそうです。
「仕事に行きたくないな」と思う日があっても、人生の大事な役割の中での意味を考え、うまくバランスを取りながらあなたらしいキャリアを組み立てていただきたいと思います。